セッションご感想

局所性ジストニアの症状に改善のきざし・Mさんの場合

hands playing piano

認定ロルファー™の利香です。
局所性ジストニアでピアノがうまく弾けなくなったクライアントさんがいます。
セッション6の後、「右の人差し指の鍵盤へのタッチをちゃんと感じてやってみると、親指の不随意運動があまり起きなくなりました。症状が改善してきました」という嬉しい報告をいただきました。(10シリーズの途中で大怪我をされ一時中断。再開にあたって調整セッションをはさんだため、セッション6が実質10回目のセッション)

この方:Mさんは、インターネットで局所性ジストニアの改善法を検索し、あるピアニストがロルフィングで症状が改善したという情報を得て、(【思いつくまま・Rolfer日記】より「NHK芸術劇場「右手の病を乗り越えたピアニスト、レオン・フライシャー」」)それならばとお越しくださいました。Mさんは70歳すぎ。現役ばりばりのプロではありませんが、伴奏を頼まれたりとピアノを弾くことが生活のなかで大きな位置を占めています。自分の意思とは無関係に動く右親指と右薬指に悩まされ、ボトックス注射による治療を試すも、一時しのぎでしかなかったそうです。

野球選手やゴルファーがなる病で有名なイップスというものがあります。試合における大切な場面で、筋肉が意思に反して動いてしまい思い通りのプレイができないという厄介な病です。イップスの原因の一つは局所性ジストニアではないかという説があります。イップスも局所性ジストニアも、これといった治療法が確立されていません。(もっとも、治療法が確立されていない病の方が多いのですけれども…)

楽器の演奏やスポーツにおける決まった動作は、熟達するほどに無意識にその動作がやれるようになります。反射的に受け身をとったり、思い浮かんだメロディをすらすら弾けたりするのは、いちいち頭で考えて身体を動かさなくてもできる域に達しているからです。

実はこれが厄介なことを引き起こすのではないかなと思います。

わたしは脳神経学のプロではないので粗い説明しかできませんが、随意筋を動かすのは脳です。「動け」という脳からの指令が神経をとおって各部位の筋肉に伝達されるのが通常ルートなのに、脳からの指令をすっとばして無意識に筋肉が動くことが増え、しかもそれを反復運動としてやりつづける=いわばショートカット・ルートでの動作が増えると、神経の誤作動が起こるようなのです。局所性ジストニアは大脳基底核で異常が起きているからだとも言われています。(古屋晋一 著『ピアニストの脳を科学する 超絶技巧のメカニズム』 株式会社春秋社,2012参照)

Mさんのセッションでは、通常の10シリーズの手順に加えて神経ワークを取り入れた施術を毎回しています。また、随意筋が動く仕組みや、指先へとつながる神経がどこをどう通り、どんな筋肉からの影響をうけるのかなどもお伝えして、身体や動作の理解を深めていただけるような内容にしています。Mさんも、それをうけて「ではこうやってみようかしら」と弾き方を工夫すればこそ、セッションの効果が早くもちらりと現れてきたのだと思います。ジストニアを発症されたのが2002年からで、かれこれ15年間もこの症状に悩まれていたというのに。
Mさんの「よくなりたい!」という強い気持ちもさることながら、なんでも試してみようという意欲と行動力が改善の鍵となっています。

 

治療が困難といわれる病を得ると、ゴッドハンド治療家を求めて「先生にお任せします!」とついつい言いたくなってしまいますね。でも、専門家に任せておけばいいやという丸投げと、プロの治療家の知識や技能を敬うこととは別です。

自分の身体の専門家は自分しかなれません。

自分の身体への理解が深まると、セッションで得られる体験も深まります。10シリーズを検討されている方は、ぜひ自分の身体のプロになるつもりでお越しください。

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