認定ロルファー™の利香です。
骨盤のゆがみが気になる人は多いのでしょうか。街でよく「骨盤矯正」という文字をみかけます。これは良識あるボディワーカーは使わない言葉です。
このブログでも何度か書いていますが、骨盤を構成している骨:腸骨・恥骨・坐骨の骨そのものは滅多なことではゆがみません。航空機事故、交通事故、落馬といった大事故にあって骨盤骨折でも経験しない限り、骨そのものがゆがむようなことは滅多にないと思ってください。
骨盤のうち、いちばん触りやすく、かつ、目にも入りやすい「腰の前側のでっぱり」(前腸骨稜:ASIS。上の画像の女性が触っているところ)の高さが左右で違うように感じられたら、原因は筋肉や靭帯といった軟組織にあります。
左右の腸骨稜が、骨盤の前傾・後傾それに回旋を組み合わせた様相で、それぞれ別な方向を向くことがあります。たとえば、わたしのように股関節にチャレンジがある場合は、脱臼を防ぐために「骨盤を前に傾けて、股関節のかぶりを深くする」姿勢をとり、「膝を内側へ入れる動作(これをすると脱臼しやすくなります)は避ける」パターンを体が自然にあみだします。結果として、骨盤は前傾(いわゆるでっちり)し、太ももの前側と外側の筋肉やお尻の中の方にある脚を外旋させる筋肉ばかり使うようになり、それらの筋肉を硬く・短くして骨盤の前傾や回旋を更に悪化させます。
股関節にチャレンジがなくても、正しい歩き方ができていないと、容易に脚やお尻の筋肉はかたくなってしまいます。脚もパンパンで骨盤の高さが左右でばらつきがあるかも?と感じられるときには、まずは太ももの前側をストレッチしてください。
次にお尻の深いところにある梨状筋もストレッチします。このストレッチは坐骨神経痛にも有効です。
仰向けに寝て片方の太ももを両手でホールドします。(片方の手は外側から、もう片方の手は両脚の間から入れます)もう片方の脚の足首を膝上あたりにひっかけて、掴んでいる方の太ももをおへその方へと引き寄せます。このとき、首や腰は反らさないようにしてください。伸ばしているのは、足首をひっかけている側のお尻です。
また、大腰筋のストレッチも骨盤の前傾をゆるめる効果があるので続けてやります。
床に足の甲、前側のスネをつけるのがポイントです。
こちらの画像のように床を使ったストレッチは股関節を深く屈曲するので、股関節形成不全や変形性股関節症の人は避けた方が無難です。股関節形成不全のある人が大腰筋をストレッチしたい場合は、低い踏み台を利用します。屈曲する方の脚をその台に乗せて、ゆっくりと反対側の脚を伸ばし、まずは足の甲を床につけます。つま先をだんだん遠くへおしやるような気持ちで脚を伸ばしてゆき、曲げている方の脚の股関節は様子をみながら屈曲させてください。不安のない屈曲位でとめ、自分の脚の重みで大腰筋が伸びるのを待ちます。
ストレッチは息を吐きながら伸ばすことと、どこを伸ばしているのかをちゃんと理解した上で行うのが効果を倍増させます。骨盤矯正の回数券を買う前に、セルフケアもしてみてくださいね!
それでも「なんだかゆがんでいる気がする」「どうしても腰の反りがなおらない」と悩んでしまう場合は、そもそも身体の使い方や今の構造に原因があるかもしれません。そういう問題にアプローチできるロルフィングにご興味ありましたら、いちどご相談ください。