認定ロルファー™の利香です。
身体に関わる仕事をしていると、様々な健康法や健康グッズについてお客様から相談されることがよくあります。特に多いのが外反母趾矯正に関するものです。しかし、わたしは外反母趾ではないので、外反母趾矯正グッズのつけ心地や効果のほどを自ら体験はできません。
わたしの足はいわゆる扁平足(これは遺伝だな…と父と兄の足裏をみて感じます)で、扁平足用のグッズなら試してみることができます。
というわけでAmazonで買ってみました。
【扁平足 サポーター 偏平足サポーター 扁平足 矯正 アーチサポーター扁平足用 外反母趾 シリコン素材 フリーサイズ 男女兼用 サイズ調整可能 【2個入り】Marekko】
商品名が長いんですけど…要はシリコン素材でサイズを特に気にせず買える、扁平足用のサポーターということですね。実物はこんな感じです。マジックテープで止めます。
どこが正しい位置なの?とまどいしかない装着感
レビューでは「快適です」とか「これをつけて山登りしたら疲れなかった」とか肯定的な感想がならんでいますが、わたしにはめちゃくちゃ違和感があります。シリコン素材で柔軟で若干の伸縮性があるのはいいのですが、通気性はないし足裏が痛い。それも不快な痛さです。
そもそも適切な位置に装着できているのかが疑問です。どれぐらい締め付けて装着すればいいのか、装着するときの場所の目安はどこか、そういった肝心なことが説明書にありません。
「これ、1日つけているんだよね…ってことはもう少しゆるくてもいいのでは?」と緩くしてみると、加減が難しく、皮膚とサポーターの間の隙間がほんの少し広がるだけで更に違和感が増します。やはりややきつめにつける必要がありそうです。
もしやつける場所がよろしくないのか?と、つける位置を試行錯誤してようやく快適な(というより我慢できる)場所をみつけましたが、それが果たして効果を最大限に実感できる場所なのか否かはわかりません。せめて目安を書いて欲しいですね。
ひやりとした意外な盲点
おそらくここであっているだろうと思われるところにサポーターを装着し、平らなフローリングの上を歩き回ってみたところ、ちょっとひやりとしました。
サポーターにはふくらみがあり、そのせいでいくらぎゅっときつめに着けても親指の付け根の母趾球の下あたりの部分が、ほんの少し肌から浮いてしまいます。そこがフローリングにひっかかるのです。しかも素材はシリコン。ゴムみたいなものです。フローリングにひっかかるとそこで引き止められる感じになってしまいます。
これを防ぐためにはサポーターをつけた上から、ぴったりした靴下を履いた方がいいですね。ストッキングではおそらく意味がないでしょう。
安全面から考えると、歩行時に足を持ち上げる筋力が衰えているような人、特に高齢者や股関節・膝関節に痛みがある人にはお勧めできないな…というのが正直なところです。つまずいて転んで怪我をしたのでは元も子もありません。
装着していたらアーチはつくれるのか?
結論から言うと、「長時間の装着には堪えられないので効果は不明」です。商品のレビューを見ていると、土踏まずを支えられて快適に感じる人もいるようなので、扁平足の疲れに効果がないとは一概にはいえません。また、アーチができるかどうかまではレビューだけでは不明です。
おそらくこういうものの「効果」は、個人差が非常に大きいのではないでしょうか。そもそも、「わたしは扁平足だ」と思っていても、実は扁平足ではない場合もあります。開張足かもしれないし、過回内(足を後ろから見たときに、かかとが内側に向けて倒れている状態)を伴って土踏まずが潰れている場合もあります。そういう場合はまず足首の中にある骨:距骨(きょこつ)を調整したり、足の甲の中にある親指に連なる骨:第一中足骨のねじれを調整したりしながら、歩き方を変える必要があります。インソールやサポーターだけでなんとかなるようなものでもないのです。
健康グッズは世に溢れていますが、これさえ使っていれば大丈夫!というものはないと思ってください。もしそんな万能で素晴らしい道具が存在するのなら、そもそも悩む人などいないわけです。
また、健康グッズを誤った使い方をして更に他の関節に負担をかけてしまうこともありえます。特に足という、すべての土台となるところに手を加えるようなものは慎重に使ってください。足裏は気持ち良くても膝や股関節等に痛みや不快感を覚えたら、すぐに使用をやめましょう。ほんとうに足の問題をなんとかしたいのなら、プロのサービスを使ってください。
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