わたしのこと

シンギングボウルは耳管開放症にはつらい

 認定ロルファー™の利香です。

 二度目の音楽療法に行ってきました。(耳管開放症の治療の一環。)今回は鉄製の銅鑼のような楽器も持ってきていただきました。これが非常に興味深かったです。特殊な格好をしているんですけど、打つ場所によって音がまったくちがう。中心は音の精度が高くてクリア。その周辺はちょっとずつ別な音が入るようになっていて、雑味がある音になります。イヤだな、と思ったらその音をすぐに自分の意思で止められるのも、音楽療法のいいところです。

 金属製の音を苦手とする耳管開放症患者が多いので、この楽器が使用できない人もいると聞きました。音楽療法士の先生によると、クリスタルボウル、シンギングボウル、チベタンベルの音は「凶器」と感じる耳管開放症患者が多いのだそうです。どんな種類・音域・強さ・指向性の音が苦手かは、患者によって様々ではありますが、この三つはかなりの高確率で耳管開放症患者の心身を傷めつけます。わたしもクリスタルボウルとシンギングボウルは、この世の中から抹殺したいぐらい嫌いな音です。瞑想、ヨガ等の現場で用いられることの多いシンギングボウルやチベタンベル。あの音イヤさにヨガ教室から足が遠のいたと言っても過言ではありません。 
 日本の仏具の「おりん」はまだマシです。市場に出回っている手頃な値段のシンギングボウルは雑味だらけで、耳管開放症患者からしたら「汚染された音」としか言いようがないんですよね。おそらく、聴覚過敏の方々にも似たような感想を持っている人は多いのではないかと感じます。

 

 ヒトの耳は、他の哺乳類や鳥類に比べたら鈍感な部類になるのでしょう。でも、認識しているよりもはるかに様々な音を、わたしたちの聴覚は聞きとっています。金属製の楽器は、素材の組成や鋳造のプロセス、焼成温度によってかなり音が異なります。弦楽器を弾く人ならわかると思いますが、スプルース、メイプル等、どんな樹木をどのようにして加工したかでも音がまったく異なりますよね。それらの違いは「まろやか」「よくとおる」「重厚」といった形容で主観的に語るしかありませんが、確実に違いはあります。 
 音の感じ方は個人差があるので、説明してもわかってもらえないことばっかりです。音楽療法士の先生が「こういう音が苦手な患者さんが多いので、井爪さんもそうかなと思ってちょっとドキドキで持ってきたんですよ」と仰ってくださったとき、そうか、症状のせいなのか。わたしが神経質なわけじゃなかったんだとホッとしました。

 これを読んでいる方で、教室やワークショップなどでクリスタルボウル、シンギングボウル、チベタンベルや音楽を使う人がいたら、「この音が苦手な人がいたら教えてください」と参加者になんどでも声をかけてください。「大丈夫?」とは訊かないようになさってください。「大丈夫?」と訊かれたら、大丈夫ではなくても反射的に「大丈夫です」と答えてしまうものですから。安心して参加できる場が少ないのも、耳管開放症の患者の悩みのひとつです。ご理解いただけたら嬉しいです。