ロルフィング

「常識が覆された」・良いとされていることが不向きな場合もある

認定ロルファー™️の利香です。

職業柄「これが良い」と自ら刷り込んだ姿勢が、本来の自分の身体の特質を殺ぐ働きをしていたクライアントさん。お仕事はクライミングのインストラクターです。

昨日のセッション5では「これまでの常識が全部覆された…」とフラフラしながら帰られました。
 
 
実際にやってみて、実体験として「こっちの方が圧倒的にしっくりくる!」と感じた時にだけ、こういうことが起こります。わたしはああだこうだと説明したり、相手が信じているものを打ち砕いたり、論理的整合性がとれている正論をぶつけたりはしません。むしろかなり感覚的なことを感覚的なまま伝えています。

セッション5のゴールのひとつに腰椎を伸ばすというものがあります。昨日はそれと関連したムーブメントを試みました。
腰椎をどう動かすか。それに連動して胸椎はどう動くか。
骨盤をどう傾けたら脚からのサポートが得られるのか。
1日に何度もやる「椅子に座った状態」「椅子からの立ち上がり」「前屈から上半身を起こす」「じっと立つ」などの動作を脱構築したので、クライアントさんは感覚がぐらぐらと揺さぶられたようでした。
 
 
身体をどう使うかのセンスを伝える。
これはとても難しい。
指導者と自分のセンスが合わなかったらちんぷんかんぷんになるし、自己流を認めてもらえなかったら潰されてしまいます。運動や競技を指導する/される難しさは、全てここじゃないかなと感じます。
どれほど「優れている」とされるメソッドでも、自身に合わないものをやり続けると、いずれ体に無理がきます。あちこちの故障、自在感の喪失、思い通りにならないもどかしさ、焦り、不安まで招きます。故障が多いのなら、優れていると教えられたこと・自分が疑ってすらいない前提を、試しにやめてみるのもいいかもしれません。

このクライアントさんも、これまで「間違ったこと」をやっていた訳ではありません。そういう風に体を使った方がしっくりくる人もいるけど自分には合わなかっただけです。
お仕事でもあるから、「あのクライマーが推奨する理論なのだからこれが良いんだな!」と熱心に吸収された。でも、自分の体の特徴や強みには合わなかった。それでも引き出しは増え経験を積めたので、指導者としてレベルアップされるはずです。そういう重要な転機に関われて、わたしも毎回ワクワクしながらセッションをしております。

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