わたしのこと

ロルフィングと出会うまで(4) -こんなはずじゃなかった

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東京都渋谷区と小金井市でセッションをしている認定ロルファー™の利香です。
わたしがロルフィング®と出会うまでの話を書いております。こちらも併せて読んでいただけると嬉しいです。

・ロルフィングと出会うまで(1) ー股関節が痛い!
・ロルフィングと出会うまで(2) ー「軟骨は再生しないんです!」と叱られる
・ロルフィングと出会うまで(3) ー手術を決断

 

■入院生活

 股関節唇の縫合手術は成功。手術翌日から車椅子生活です。ちなみに、手術後5日ほどは、車椅子から洋式トイレの便座に乗りうつるのにも、トイレの便座から車椅子にもう一度戻るのにも介助必須とされていました。トイレにゆくたびに看護師さんのお世話になっていました。

 手術を受けた側(以下、術側)の右を下にして寝るのは禁じられ、右側に寝返りをうってしまわぬよう、狭いベッドにクッションや枕で壁を作って寝ていました。これがほんとうに不便でした。

 最初は術側の脚に体重を載せるのは厳禁で、リハビリしながら徐々に荷重制限をゆるめてゆきます。車椅子オンリー → 車椅子&松葉杖 → 松葉杖 → 1本杖 という具合に荷重をひきうけてくれるサポートを減らしてゆきます。松葉杖というものは、腋の下を圧迫する実に不快なものだというのも体験しました。
 車椅子は意外に小回りが効き、フラットな病院内では快適な乗り物でしたが、長時間座りっぱなしで使うためには作られていないタイプだったこともあり、ずっとそれに座って友達と話しているとしんどくなってきます。
 院内にはコンビニやスタバもあるのですが、車椅子で視線が低くなっているわたしたちには、「届かない」「見えない」というトラップがありました。

 病室からエレベーターで1階にある理学療法室への移動許可がでるまでは、ベッドの上で機械につながれて片脚だけ自動で曲げ伸ばしさせられる(自分で動かしたらダメ)リハビリをしておりました。これが実に不愉快だったので、1週間後に理学療法室まで移動許可が出た時は嬉しかったです。
 わたしは阪大病院で内視鏡下股関節唇縫合手術を受けた第1号患者だったので、病院側もデータがなかったのでしょう。リハビリも手探りという印象を受けました。理学療法士もつききりというわけではなく、指示だけだして別な患者のところへいったり、複数名の患者を同時進行で指導するので「果たしてわたしはこの動作を正しくできているんだろうか…」と不安になることもよくありました。

 

■杖をついたまま退院

 淡々とリハビリメニューをこなし、歩行訓練もこなし、いよいよ退院と知らされた時に「えっ?」となりました。まだ杖を外せていないんですけど…?
 杖なしで歩けるようになって退院かと思いきや、そうではなかったのです。わたしからしたら「杖がなくては歩けない=回復していない」なのですが、医師からしたら「杖をつけば歩ける=治癒した。治療終わり」なのです。

 え??ちょっと待って。杖をつかなくて済むようになることがゴールなのに、まだ途中じゃん!と焦りましたが、そんなことは病院には関係ない。さしあたって命の危険もない患者のリハビリなどよりも、今すぐに治療が必要な患者を受け入れる方が大事です。これが急性期の治療に特化した大学病院の大きな使命ですから、仕方ありません。
 が、放り出される方としては納得がゆかなかった…というのが正直なところです。

 

■できないことだらけの生活

 しゃがんだらダメ、階段使用禁止、正座はいいけど横座りはダメ、床に座ったら立ち上がる時には必ず何かにつかまってから立たないとダメ、外では杖必須、椅子とベッドを使え等々いろんな制限とともにシャバに戻ったものの、できないことだらけで愕然となりました。

 しゃがめない=和式トイレが使えないので出先に洋式トイレがないと大ピンチ。筋力が衰えて脚が前にでず、横断歩道を渡っている最中に信号の点滅が始まっても、小走りすらできない。エスカレーターがない駅では、ホームの端っこにあるエレベーターまで歩かねばならない。階段を降りることが厳禁なので、地下駅の場合は遠回りしてでもエスカレーターのある改札を使う。

 人をパッと避けることができないので、人混みにでかけたり、電車に乗ったり、ちびっこがちょこまかするスーパーで買い物をしたりすることが恐怖でした。

 座った時に膝が股関節より高くなるような、背の低い椅子や柔らかい座面のソファもダメで座るものを選ばざるを得ない。それに加えて杖が手放せないので、雨の時は外出を断念することもありました。退院して杖を使いながら外を歩いてみると、普通の道路がいかに凸凹や障害物だらけで歩きづらいかがよくわかりました。
 また、たくさんの人が目の色を変えて動き回る通勤時間帯などは衝突・転倒が怖くて、再就職して後も、ビクビクドキドキしながら通勤していました。実際、杖をわざと足ではらわれたり、ぶつかってこられたり、舌打ちされたりしたこともあります。

 

■代替医療を試しまくる

 なんとか早く杖を外したくて、すぐガチガチになる足腰周りの筋肉をほぐしにマッサージに通ったり、鍼灸を試したり、理学療法士の方が独立開業してやっている歩き方指導(1回2万円もするのに私にはほとんど意味がなかった)に通ったりしましたが、はかばかしい効果はありませんでした。
 こんなはずじゃなかった。これなら手術など受けなければよかったと思ったけれど、後の祭。いちど切ったり縫ったりした組織はもとにはもどらない。

 そんな時期に、情報収集のためにTwitterで繋がっていた理学療法士さんの、「ロルフィングのワークショップに参加してみた。すごくおもしろかったし可能性が感じられた」という主旨のつぶやきを目にします。それをみて「これは私に効くんじゃないか」とハッとし、ロルフィングについて1週間ほどネットで調べました。
 たくさんのロルファーがそれぞれのブログやホームページで書いている「ロルフィングとはなにか」を読んでもほとんど理解できない(苦笑)でもきっとこれは私に効く!という確信があり、当時、神戸市東灘区にあった Rolfing House Festa の大友さんから10シリーズを受けることに決めたのです。

・ロルフィングと出会うまで(5)ー10シリーズを受けるに続きます。

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