日々のこと

おばファッション

47歳になりまして。

なにがいちばん困るかというと
相変わらず衣料全般について困っている。

ロルフィングを受けると身体への負荷に敏感になるせいなのか、
はたまた何についても我慢しなくなるせいなのか、
身につけるモノのキツさ・重さ・肌触りについて
いっさい妥協したくなくなるのである。

これはわたしだけでなく、他のロルファーからもしばしば聞くことでもある。

指輪、ネックレス、腕時計、バングル、それらは
「ワークの邪魔!」「呼吸が苦しい!」
「身体の重さが左右で違うのが不快!」という理由で顧みられなくなる。
(ロルファーがアクセサリー類をほとんどせず、
 洗いざらした天然素材の服を身につけ
 バックパックを愛用しているのは
 貧しいからではありませんので
 そこのところよろしくお含みおき
 くださいますよう心よりお願い申し上げます)

そこにもってきて年齢の問題がある。

無理した若作りは痛々しいだけだが
見た目年齢に合った服装をするのがよいと
わたしは常々考えている。

だが、これが日本ではなかなか難しい。

そもそも着られる服がない。

いい服を作って売るという発想が
昨今のアパレル業界にはないのであろう。
素材もひどいし縫製もひどい。
古着屋をしている人が数年前にぽつりと
「そのうち古着は無くなりますよー
1990年代からは服の素材が悪くなったから
保たないし、そもそも服そのものが使い捨て。
古着屋にまで回ってきません」
と、こぼした言葉が
我が事として心に重くのしかかってくる。

 

服は文化である。

文化そのものがペラペラに軽薄になっているのだから
その先端をゆく服の質がペラッペラになるのもむべなるかな・・・

アパレル業界をとりまく状況は厳しいのはわかっている。
だが言わせて欲しい。

未だに文化式を踏襲して、貧弱な上半身に太めの下半身という
妙なバランスでパターンをひいている段階で、
えっと、今って昭和40年代でしたっけ?と真顔で訊きたくなるし、
日本のアパレルは揃いも揃ってアホだらけなんじゃないかと、
現実を無視した既製服パターン展開に対する不平不満罵詈雑言なら
いくらでも言えますけど?な
規格外街道をひた走りに走ってきた人生だったことも手伝い、
着られる服がない問題に対する苛立ちは
このところヒートアップするばかり。

 

40代以上の女性が、
過不足ないな、心地いいなと
満足出来る服を作る気は
君たちにはないのかね?!

第三国の人たちを
劣悪な環境でこき使い、搾取し、
環境を汚染し、動物を虐待するファストファッションもいらない!
(ヒートテックは重宝してます。すいませんすいません)

 

取り乱しました。

 

ここを過ぎて悲しみの街、と太宰治は書いたが
50を過ぎたら悲しみの服、となるのが日本である。

 

見た目年齢相応の服を着ようと思っても選択肢がない。

20代をターゲットにしているところに
突っ込むほどの狂気はさすがに持ち合わせていない。
30代は基本「大人キレイ」とか言われて励まされるけど
子育てにお金をかけるときになにが大人キレイだよというのが現実。
そして40代も同様。
30代後半で買った服をなんとなく
こんな路線でいいかな〜と思って着ている。

自分のファッションを改めて見直そうとして気がつく。

着たい服が売っていない。

 

なんとかそれをごまかしごまかし、
適度にモードを取り入れて、そこそこ上質なものも
買って着てみたりもするけれど納得はゆかない。

なぜならここからサイズの個人差が大きくでてくるからだ。

妊娠・出産を経て女性の身体は大きく変化する。
そして40年かけて身に染み付いてきた身体の癖も
身体の各パーツのアンバランスさに拍車をかけてくるのである。
上は9号だけど下は13号でもヤバい…とか
認めたくない現実が噴出してくる。

そして50の声を聞く頃になり
百貨店でわたしはどのフロアにゆけば・・・とさまよううちに、おばファッションのフロアがチラチラと視界に入るようになってきて、

「まじかよ。あれだけは勘弁してくれよ」

と慄然とするのだ。

 

 

おばファッション。

それは

唐突に現れる自己主張の強い切り替え。

模様化された意味不明の英文ロゴ。

貝ヒモみたいな扁平フリル。

彩度の低い幾何学模様。

独特すぎる色彩感覚のツイード。

サイケデリックなペイズリー。

明度が高いのに黒で輪郭線が
がっつりかいてある花柄。
(老眼対策?)

 

なぜ
普通の、上品で洗練されたデザインの
生地やパターンをつかわない?

成熟を通り越して醗酵して珍味やないかコレ。

そんなおばファッションにだけは
絶対に染まらないぞ!という意気込みはあるものの
いったい、どこにゆけば、わたしが着て満足出来る服が得られるのか。
途方にくれる47歳の年の瀬です。