セッションご感想

気づくことから始まる

認定ロルファー™の利香です。

昨日のセッションで興味深い体験をしました。

クライアント:Nさんは産まれながらにいくつかの持病を抱えていらっしゃる方で、お話をうかがっていると普通の社会生活を営むため多大な努力をなさっているのがよくわかりました。

3月から新たな療法を開始して今も継続していること、ハイパーセンシティブでいらっしゃること、筋肉や靭帯といった軟組織や結合組織がたいへん弱いことがわかりましたので、構造にぐいぐい働きかけるワークはしませんでした。

私がしたことは、Nさんに後ろの空間への意識と、体の内側の意識とを持ってもらうことでした。体の内側に意識をむけ、健康なところはどこかを探してもらいました。
痛みと二人三脚で人生を歩んでこられたNさんにとって、健康なところを探すのはちょっと難しそうでした。
しばらくして「ここかな?」というところを見つけてくださったので、そこから健康が全身に広がるように色や光でイメージしてもらいました。一種のイメトレです。

 

Nさんからうけたフィードバックはたいへん興味深いものでした。

「体がマーブル模様みたいに感じる」

健康なところを明るい光とイメージして、その光を全身に向けて広げてゆこうとするんだけど、「陽が部屋にさしこんでくるときのように明るいところとまだ暗いところのようには分かれず、まだらになってしまう」というのです。

こういうフィードバックは私にとっては初めてでしたが、複数の持病とつきあっているNさんの状態を的確に表していると感じました。
健康とそうではないところが複雑にいりくんでいる。
軟組織や神経にチャレンジのある方にとって、体とはまさにそういう感覚だろうと思います。そしてその感覚をことばにして表現することで、Nさんが体の健康へと意識を向けるきっかけを掴んでくださったのが素晴らしかったです。

 

ロルフィングでは、体のどこでなにをどんなふうに感じているかというボディ・アウェアネスを重視します。
アウェアネスとは「気づき」と訳されることが多い語です。ちなみに、単語としてfindが見てわかる、knowが理解する、awareはknowよりも理解のレベルは低いもののわかっている・知っているという違いがあります。
人の思考の段階としては、気づき→理解 という段階をふみます。ボディ・アウェアネスは、気づきそのものを大切にする価値観をあらわしています。気がついた感覚のよしあしは判断しません。「肩がなんだか重いなぁ」「腰が右側だけ持ち上がってるような感じだなぁ」と気がつくだけで十分。そこから「運動不足だからだな!運動が長続きしなくてダメだなぁ」とか「やっぱりストレスが原因か。仕事が忙しいのは上司が無能だからだ」とか、自分や他人をジャッジするようなことを考える必要はありません。

気づくことからすべて始まります。

 

自分の体がどういう状態にあるのかを自覚することは、どんなセラピーにも大切なことと思います。

Nさんには夜寝る前に「健康を広げる」のイメトレなどをお薦めし、体質や持病の特徴によっては構造に働きかけるワークが向かない方もいること、Nさんがまさにそうであることをお伝えしました。

私はロルフィングを仕事にしていますが、ロルフィングだけが正しいボディワークだと思ってはいません。どういうワークが体質や気質、その時の状態にあっているかは人によって千差万別なので、その方がいちばん心地よく、効果を感じられるものを選んでくださって幸せになってくれるのを願っています。

 

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