認定ロルファー™の利香です。
友人からアーユルヴェーダの施術を受ける機会がありました。アーユルヴェーダがどういうものかほとんど知らずに受けてみたのですが、素晴らしいリラクゼーションと気分転換の時間となりました。そのような機会を提供してくれた友人に感謝しています。
それと同時に、久しぶりに「未知の施術を受ける側」に回ったことで気がついたことが多々ありました。わたしが施術をする側;セラピスト側になってまだ2年ですが、一般の人の感覚をこんなに忘れていたなんて!と驚きました。今日は、施術を受ける側の立場から気がついたことを書きます。
バウンダリー(境界線)を明確に
気心の知れた友人から施術を受ける場合、友人としての関係性が施術中にも大きく作用してきます。これは家族や血縁関係のある人から施術を受ける時も同じだと思います。
「気心が知れている」という安心感があるからこそ施術を受けようと思ったのだとしても、実際にマッサージテーブルに載り、身を横たえた瞬間から普段の関係性は揺らぎます。施術を受ける側は肌を曝して心身ともに無防備;vulnerableな状態で、
弱者の地位に転落したかのように感じてしまうからです。自分の体についての劣等感や気恥ずかしさなんかも出てきます。肩をちょっと揉んでもらう程度の気安さで、本格的な施術を受けようと決めたことをこの時点で後悔したりもします。
プレッシャーや傷つきやすさを施術を受ける側は感じるものだということを踏まえると、施術をする側は、普段の友人としてのノリを施術の場に持ち込むのは避けるのが賢明です。セラピストとしての境界線を、友人としてのそれとは別に引き直す態度を示す方が、クライアント役になってくれた人に負担をかけずに済みます。この姿勢は率直なフィードバックをもらうためにも重要です。
今後も関係性が続くということ
受ける側になってみると「施術を受けている時以外は、普段の関係性に戻れるかどうか」は非常に大事なことだとわかります。あまりガチガチなバウンダリーを設定されても困るし、いつものノリを持ち込まれても困る。このバランス感覚がセラピストには求められるのだろうなと感じます。
また、施術を受ける側としては、自分が感じたことを率直に伝えても友人としての関係にヒビが入らないかどうかも気になってしまうところです。バウンダリーを明確にしてプロとしての姿勢を見せてもらえると、そういった気後れをせずに済みます。
率直なフィードバック
セラピストは率直なフィードバックをもらってナンボです。施術が終わり、友人関係に戻りつつある時間に、普段の信頼関係に基づいた率直なフィードバックが得られたら嬉しいですよね。が、施術を受ける側は友達だからこそネガティブな意見を言いたくないなと配慮してしまうものです。そういう気遣いを相手にさせないような場と関係性をつくるのも、セラピストの境界線の意識にかかってくるのではないかと感じます。
セラピストの本音として、率直な意見を聴くのは怖いと感じる気持ちもわかります。が、意見は攻撃ではありません。もしそのような気持ちがあるのであれば、自分が他人の言動に貼っているラベルをもういちど見直してみてください。
今日のはセラピスト向けの記事ではありますが、おそらくどんな仕事でも言えることだと思います。自分の子どもに英語を教えるとき、親にパソコンの操作を教えるとき、どうしても苛立ってうまくできないという教師や講師は多いものです。
関係性を壊さないためにバウンダリーは最重要事項だというのは、基礎中の基礎ではありますが、当たり前すぎて意識から欠落してしまうのも事実です。肝に銘じておきたいものです。