ココロとカラダ

重心の場所は丹田?

認定ロルファー™の利香です。


 重心の感覚、ありますか?身体のどのあたりに重心があると思いますか?
 身体の重心:center of gravity とは、「重さを考えた時に、そこを支えたら(身体の)全体の重さを支えることができる点」となります。姿勢と重心の感覚は密接にかかわっています。

重心は丹田にしかない、という幻想

 ヨガや武術をやっている人に多いのですが、重心は常に丹田にあるべきだとか、重心=どんな人でも丹田にあると思い込んでいることがあります。
 ところが、実際には身体の上の方に重心を感じるタイプの人もいます。それは決して間違いではありません。みぞおち周辺や胸のあたりに重心を感じやすい人もいるのです。
 相手を制圧することに意義がある武術では、重心を低くとったほうがより強かったり、意識が頭に集中しがちな現代人にはヨガや瞑想時に丹田を意識させるほうがより深い体験ができたりするので、丹田が強調されるのでしょう。しかし、臍周辺に重心を感じる人たちに比べて劣っているとか、おかしいとかいうこともありません。
 この重心の感覚は、身体のリソースがどこにあるのかとも関わります。

あなたはSkyタイプ?それともEarthタイプ?

 身体や動作を評価する時に、 地面にリソースがある人なのか、それとも空にリソースがある人なのかをロルファーは観ます。(ロルフィングでは人の身体を読むときには様々な評価法があり、これだけではありません)
 地面にリソースがある人は、「地に足をつける」「落ち着く」「掘り下げる」「踏みこたえる」「どっしり」「踏み込む」「受け止める」「押す(圧す)」といった表現を好む傾向にあり、下半身が落ち着いた優雅な動作が得意です。
 一方で、空にリソースがある人はどんな動作をする時にも上方へと向かう意識が強く働き、常に生き生きと肩・腕・手を動かす軽やかな動作が得意です。「伸ばす」「軽快に」「飛躍する」「スッと」「見はらす」「広げる」といった表現の方がしっくりくるようです。

 こちらは有名なタップダンサー:フレッド・アステアとジーン・ケリーの動画。ロルフィングのトレーニングの授業でこの動画を観た時、ふたりとも同じ振り付けで踊っているのに印象があまりに違うので驚きました。(最初のうち左側で踊っているのがEarthタイプのジーン・ケリー、右側がSkyタイプのフレッド・アステアです)

 ふたりは身長差が殆どないにも関わらず、ジーン・ケリーは踊っている時は姿勢を低めにかまえる傾向があり、踊り出すと、アステアよりも背が低くなったように見えます。フレッド・アステアは典型的なSkyタイプで、踊っている時も上半身を高く保っています。彼の軽妙なダンスは腕の重さを感じさせず、見ていて浮き浮きしますね。もちろん、ジーン・ケリーの安定感抜群のダンスもすばらしいです。
 EarthとSkyのどちらがいい/悪いというのはありません。どちらの動作が好きかという好みはあるかもしれませんが、これは髪の毛や瞳の色と同じ持って生まれた個性のひとつ。優劣はありません。

 自分の身体の個性やリソースの在り方、重心の感じ方の傾向を知ると、身体への理解がまた深まります。「こうでなくてはならない」というきゅうくつな思い込みから自由になって、本来の自分に戻ってみませんか。

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