わたしのこと

手に職があれば食べてゆけるのに…という幻想

認定ロルファー™️の利香です。

お仕事に悩むクライアントさんから「利香さんはいいですよね。手に職があって、自立していて。」と、言われることがたまにあります。

あ〜、それ、わたしも事務をやっていた時、思ったわー!

自分が不本意な職場で働いている(と感じている)時や、代わりがいくらでもいる(と感じる)仕事に従事している時、資格を活かしてバリバリ働いている人を見ると発動しちゃうこの考え方。「いいなぁ。わたしにはあんな資格ないし、今から取得するための資金も時間もないし、そもそもやりたいことがない」と、羨望の眼差しで見つめてしまうものです。

これは、不満に基づいた羨望です。

現状に満足しているなら、他人の仕事に接して「素晴らしい仕事だな。資格を取るためにがんばったんだな。すごいなぁ」と感心することはあれど、「うらやましい。それにひきかえわたしは…」と考えることなどないはず。 

今日は、「手に職があれば食べてゆける」というのは幻想ですよ〜ということを書きます。

手に職=資格を取得した専門家とはいうものの

手に職があると言われてパッと思いつくのは教師、看護師、理学療法士、美容師、といったおなじみの職業から、社会福祉士、行政書士、弁理士、弁護士といったいわゆる士業まで様々です。職能系の資格は「組織の中で働くタイプ」と「独立開業タイプ」とに二分できます。

組織の中で働くタイプの資格は、専門家といえど働く場がなければ仕事にはなりません。学校のない地域で小学校教諭の資格があっても、家庭教師か塾講師ぐらいしかできませんし(それもたくさんの子どもがいれば成り立つことです)、医療施設のないところで看護師としては働けません。

もしあなたが組織のなかで働くことに疲れているのなら、こういう資格を取っても同じことを繰り返す可能性が非常に高いです。

資格さえあれば起業できる?

独立開業系の資格を取っても、独立する人ばかりではありません。事業規模を大きくして人を雇えるようになる人たちに至っては、ごく僅かです。

独立開業には適性があります。
特に開業初期に必要と思われるのは、事務能力とメンタル面の強さです。

人件費や外注にお金がかけられない起業初期は、ひとりでなんでもこなすことになります。営業対応、集客、ウェブサイトやSNSアカウントの開設と管理運営ですね。これらには経営上必要となる判断が含まれています。たったひとりで大事なことを決断しながら、仕事も雑事もし、心折れる日にも耐えるだけのメンタルの強さが必要です。

余裕ができて人を雇うにしても、サービスを外注するにしても、給与や支払いの責任が発生しますので、経営判断はますます重みを増しマネジメント能力も求められるようになります。

人を雇えるまでの規模に事業を広げる方は、起業前から綿密な事業計画を立てています。超絶ストイックでひとりブラック企業状態で働いている期間もあったりします。「なんとなくここまで来れたんだよ〜」と話す人もいますが、よくお話を聞いてみると必ず強い信念とぶれない軸を持っていらっしゃいます。これらがあるからこそ、人が寄ってくるのですよね。

もし「わたしはメンタル面が弱い/弱っている」という自覚があるのなら、安易に起業しない方がいいです。会社に雇われている立場ならしんどい時には有給が使えますが、独立開業したら有給休暇などありませんので…即座に食い詰めてしまいます。

ないものねだりから喜びは生まれない

不満とは、「今、ここにわたしの喜びがない」と感じている状態です。
喜びを感じられる人生にするのに、国家資格や民間資格は本当に必要ですか?資格取得はあくまでも手段。目的:つまり、資格を活かしてどのように働いて自分の喜びを満たしてゆくかのほうが、重要です。

わたしも過去にやらかしてしまったことなのですが、「今、何が・どうして・どんな風に嫌なのか。どうなったら嬉しいのか」を見定めない転職は、目的地も目印も決めないまま荒海に漕ぎだすのと同じです。ただただ疲弊するばかり。
嫌いなことや好きなことをとことんまで洗い出して向き合ってみてください。きっと何が問題なのか、何が喜びなのかが見えてきます。そこで初めて資格の必要性を検討すればいい。
 
今の働き方に悩みがある人も、ない人も、どうぞよき下半期をお過ごしください。