先日、都内繁華街のカフェに入った時のこと。
平日の午後の中途半端な時間だというのに店内は混み合っていて、ふたりで座れそうな席がない。ぎゅうぎゅう。ぎちぎち。
いや、あるにはあるのだけど、そこには中年男性ふたりが4席を占領している。資料やノートPCを広げているでもなく…広い面積にだらーっと座って、コートをそれぞれ脇の椅子にかけているだけ。
わたしのお連れさんが「あの人たち、1時間前からあそこにいるんですよねーもうそろそろ終わらないかしら…」とポソッと言った。ほう?そうなの?ではダメ元でお願いしてみようかしら?と、2席分のテーブルと椅子を分けてもらえまいかとお願いしてみたところ、すっごく無表情に応じてくれた。
すっごく無表情だった。こちらの目も見なかった。
内心では嫌なのかな〜いや〜えらいすんませんなぁ!と思いながら、席をあつらえてわたしたちはわたしたちで座る。こちらの会話が途切れたりノートパソコンで作業をするので手を止めたりしているときに、お隣の男性ふたりの話し声が耳に入ってくる。
「シンママさんたちは警戒心が強いんですよね〜」
……ん?
「それはそうですよ。いちど失敗しているわけですし、お子さんがいるんですからね。警戒する気持ちはありますよ、そりゃ。◯◯さんはシンママもオッケーなんですか?」
「あ、はい。普通に尊敬します」
「そうなんだ。じゃあもっとそれをアピールしたほうがいいですよ。その方がマッチング率も上がるし。」
…ああ、婚活アドバイザーか婚活コンサルなのだな。
話しぶりから察するに未婚男性相談者は「女性の警戒心をとくためにはどうしたらよいのか」ということを相談していた。それに対して婚活アドバイザー(仮)は「あんまり最初からぐいぐいゆかず、軽いノリで話し始める」ことを勧め…
うん…まぁ、間違ってはいないんだろうけど…そういうのって人と状況によるよね…相手の出方を見ながら臨機応変にやるしかないんじゃないの〜?と隣でいらんことを考えるともなく考えていたら、
相談者は「「あ、◯◯さんはシンママさんなんですね〜!お互いシングルですね〜!」っていう感じでいけばいいんですね!」ととんだ方向に結論を出していた。
いや。婚活に既婚者がいたらやばいでしょ。
お互いシングルですねってなにそれ。
警戒心を解くための軽いジョークのつもりなのかな?
むしろリアクションに困るわ!
婚活アドバイザーも「ははは。そうそう。そういう感じで!」とか言ってる場合か!?
全力でつっこみたくなるのをぐっとこらえて、自分の作業に集中力を戻す。
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数十分の後、くだんの相談者は「ありがとうございました!次回もよろしくお願いします!」とガタガタと席を立った。身支度をする気配がし、次の瞬間、硬いものでわたしは右側頭部を叩かれていた。
えっ?なに今の!?痛い!と思って顔をそっちへ向けてみたら、奴が勢いよく着たコートの金具が当たったことが判明。そして次の瞬間、奴はふたたび勢いよく斜めがけカバンをブンッと背中側(つまりわたしの方)へとまわした。それを避けるべく、わたしはコントのように上半身を斜めにせねばならなかった。
そういうところだぞ!!!
婚活アドバイザーもふくめ、周囲の混雑状況や他人との距離感にまったく目も気も配れていない。
婚活がうまくゆかないのは相手の警戒心がどうこうとか、話題作りが苦手とかそういう問題ではない。レベルが違う。味噌汁で顔洗って出直してこい。
他人に興味を持て!
話しかけてきた相手の目すらみられないでどうする!
周囲の状況や相手の様子というコンテクストをごくごく一般的な視点から見ろ!
自分がどうふるまったら相手を快適にしてあげられるかを考えろ!
って思った出来事でした。
それにしても婚活アドバイザーはちゃんと選んだほうがいいですねぇ…