セッションの始まりに調子はいかがですか?とうかがうと、痛み、凝り、だるさなど不快な症状のみを列挙する人がいます。
セラピストから体調を訊かれたら、不調を出来るだけ詳細に伝えて「治してもらう」ものだと無意識のうちに思い込んでいるんですよね。わたしも昔はやっておりました。
こういう思考は「体調=不調」という思い込みを強化し、健康で快適な身体から遠ざかるばかりです。紙で手を切ったことに気づかないで1日を過ごし、帰宅して初めて「あれ?切れてる!」と気づいた途端に痛くなる。あれと同じです。痛いところばっかり凝視してたら、痛みしか感じません。
悪いところにばかり注目する癖がなにをひきおこすか
言うまでもなく不平不満不安の感情をひきおこします。
この状態にあると、不調の犯人探しに気を取られ、あらゆる不快な感覚に敏感になってしまいます。そして「まだここがダメ」「まだこんなに疲れやすい」等々、次の不調を迅速に見つける能力が育ってしまいます。あまつさえ、雑誌やTVの健康番組で紹介されている〇〇体操やストレッチなどを次々試してみたり、自分で揉んでみたりほぐしてみたり…健康法ジプシー、整体ジプシーになってしまったりもします。
生兵法は何年やろうとも生兵法のままです。今までのやり方では改善を実感できず、なんとかしたくてわたしのところにお越しくださっているはずなのです。「今までと同じことをしていたって、どうにもならない」と、ほんとうは気がついているのなら、次のフェーズに足を踏み出しましょう。
身体のリソースに気がつくと回復は早まる
人が癒されてゆく過程にはいくつかのフェーズがあります。
1)痛み/不調を自覚する
2)痛み/不調を言語化する
3)痛み/不調以外の感覚に気づく
4)痛み/不調を特別扱いしなくなる
1と2は同時におこることもあります。不調を我慢せざるを得ず無視してがんばってきた人は、最初にこの気づきと言語化の段階を踏む必要があります。
3の「痛み/不調以外の感覚に気づく」は、快適で健康な部分も自分にあると気づくということです。これがなかなか難しい。なぜなら、わたしたちは、不調を感じない状態を当たり前のものとみなしているからです。空気があってくれてありがたい〜!と毎日思って過ごしていないのと同様です。自分がすでに持っている健康というリソースに気づくのは難しいものですが、「痛みを感じたら、痛くないところや動作をみつけて味わう」ことを繰り返すうちに定着します。
この気づきには回復を早めるというメリットがあります。
痛み/不調を感じると人は不安になります。その時、3のフェーズに進んでいれば、「わたしの身体には健康な場所がまだたくさんある」「わたしの身体には回復する力が本来備わっている」と確信でき、不要なパニックや不安に取り憑かれるのを防ぎ、回復に集中できます。
主導権を握る
4のフェーズに入ると、自分が今の痛みからどれぐらいのペースで回復できそうか、大体の予測がつくようになります。●日経っても今の痛みが続くようなら〇〇先生のところにゆこうとか、骨折ではないからなるべく動こうとか、痛みや不調を観察しながらつきあえる段階です。
4のフェーズは、病や治療家ではなく自身が主導権を握っている段階とも言えます。この段階に到達してもらうことが、ロルフィング・10シリーズの大きなゴールでもあります。セッションの終わりのほうでは Take responsibility back to your client. /(心身についての)責任をクライアントに戻すことが大切なテーマとなります。
自分の身体のことですから、自分でしっかり責任をひきうける。この意識があると、治療家や医師の言うなりになったりメディアの情報にふりまわされたりしなくなります。痛み/不調に気づくという初歩的な段階から、自身の身体との付き合い方を育む過程がロルフィングにはあります。
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