ココロとカラダ

施術者とクライアントの相性

chemistry 相性をあらわすアイキャッチ画像

2021年夏にモデルナ製ワクチンを2回摂取後、体調をひどく崩してしまいました。1年が経過した現在、小康状態を保っていますが、積極的なロルフィングセッション再開には至っていません。最近はもっぱらクライアントとして複数の施術者のお世話になっています。

クライアントの立場になってみて改めて思うのは、身体に触れる手技(マニュアル・セラピー)を提供する施術者と、それを受けるクライアントの間には相性があるということです。あまりに当たり前の前提なのと、相性を持ち出すのは施術者側の人間としては「逃げ」のようにも感じられるのとが原因で、今まで真正面からこれについて自分の意見を述べていませんでした。

触れられるセラピーで違和感を覚えた経験がある人や、マニュアル・セラピーに興味はあれど触れられることへの抵抗感から二の足を踏んでいる人、それから、とりわけ、施術者サイドの人に読んでいただきたいです。

その施術は誰のため?

セッションを誰のためにやるのかを、施術者は常に自らに問い、自分の在りようを顧みる必要があります。セッションはクライアントのためのものです。ところが、知的好奇心や自尊心、承認欲求、支配欲のために施術する人もいます。

クライアントはどこまで許可を出しているのか。
身につけた技術・知識・経験をもつて自分は他人になにをなそうとしているのか。
それは誰のために行う行為なのか。
自分の意図はどこにあるのか。

少なくともこれらの問いについて明確な回答が出来ない人は、人の体に触る準備が出来ていません。

自らの満足のためにやっている人から施術を受けても、安心と安全が担保されていないのをクライアントは(比喩ではなしに)肌で感じます。意識にははっきりと上らなくても、「なんか嫌な感じ」「苦手」「合わない」「落ち着かない」「快適ではなかった」といった感覚になります。

善きことならなにをしてもよいのか?

心身を癒すことは常に善いことか?という問いを持ってみて欲しいのです。もう一歩踏み込んでいうと、「相手のためになる(とあなたが信じていること)ならなにをやってもよいのか?」という問いになります。
施術者は自分が提供している施術を「善きもの」と信じていますし、だからこそ仕事にしています。が、そういう信念と、クライアントがなにをどこまでそのセッションで施術者に許可するかは、まったくの別問題です。

わたしの経験した最も不愉快なセッションは、わたしが許可していないのに関わらず、勝手に心理学的なアプローチのセラピーのセッションをされたことです。わたしは身体に触れるマニュアル・セラピーを受けにその人のところに行ったのに、です。

身体や精神を自宅になぞらえて考えてみてください。玄関先での対応で済ませるつもりでいた相手が、制止する間もなくズカズカと自宅にあがり、あなたのクローゼットを開けたり寝室を覗き込んだりしたら不愉快だし怒りと恐怖すら覚えますよね。

これと同じことを「善いことだから」という施術者側だけの信念でやってはなりません。触れたらわかってしまう系の人はより注意が必要です。身体に触れる行為の持つパワーを、侮ってはいけないのです。

相性という漠然とした主観を決める要素

クライアントとしていうなら、施術者にどんな態度や資質を求めるのかが、相性を左右します。例えば「腕が確かなら少々傲慢でも気にならない」とか「施術中に雑談をしない人」とかです。自分はどういう施術が好きなのか、どんな佇まいの施術者が好きなのかを意識しておくと、あまり大はずれは起こらないと思います。

クライアントとしてのわたしは共感されることにあまり重きは置いていません。女性施術者は共感力が高い方が多く、それはボロボロに疲弊している場合はよいのかもしれないのですが、わたしはかえって居心地悪くなってしまいがちで続けて通いたいと思えない傾向があります。


また、クライアントとしては、問題解決にぎゅっとフォーカスされて固執されるのもしんどく感じます。問題解決を求めて施術をお願いしているのに矛盾しているように聞こえますよね。しかし、手術や投薬ではどうにもならないチャレンジや、原因がよくわからない不調をこれ以上ほじくるのは耐え難い時もあるのです。

だからなのか、個々のクライアントの抱えている課題を見てはいても、フォーカスは遠いところで結んでいるような施術が好きです。
わたしが最初にお世話になり今もお世話になっている山形のロルファーの大友さんのように、クライアントの痛みやチャレンジを凝視せず、身体を通してなにか大きなものにアクセスしている感覚がタッチから伝わってくるような施術をしてくれると、わたしはリラックスして心地よく感じます。自らの健康で元気な部分や、健やかな状態へと向かう身体の回復力を、そのタッチが思い出させてくれるからです。

相性に正解はない

相性は主観的な感覚で状況や心身の状態にも左右されますし、もともと不合理なものです。

でも、自分にとって心地よい距離感、態度で施術をしてくれる人を見極めるのは、実はそれほど難しくありません。「なんかイヤ」「熱心でいい人なんだけどなんかしんどい」という違和感を覚えたら離れる。それで十分です。せっかくの直感を「でも〇〇さんからの紹介だし」とか「偉い先生みたいだし」とかの理屈で無視するのは、身体に失礼です。
直感を信じて、違和感には正直になる。これが意外に難しいんですよね。とはいえ、合わない相手に施術されるのは双方にとって負担になりますから、イヤなものはイヤでいいのです。
リラックスできて快適な施術が受けられる場を、いくつか持てるようになったらいいですね。