認定ロルファー™の利香です。
臼蓋形成不全について、わたしの体験を交えて書いています。
股関節唇損傷をキーワードにしてこちらのブログを訪れてくださる方も、毎月一定数いらっしゃるようです。ここらで患者として得た実感をまとめておきます。手術を受けようかどうしようか、迷っていらっしゃる方のお役に立てたら幸いです。
前回までの記事は下記のリンクからご覧いただけます。
「臼蓋形成不全のこと(1)」
「臼蓋形成不全のこと(2)」
1)股関節唇損傷の縫合手術はすぐには受けられない
右股関節に激痛を感じたのが2011年7月。実に7軒もの病院を巡って、やっと原因がはっきりし、手術を決断したのが同年11月。 しかし病院にも都合があります。約3ヶ月待ちで予約をいれ、2012年2月1日に手術を受けました。
2)同じ手術を年間何件しているかを確認
股関節唇内視鏡下手術の、阪大病院での第一号患者に晴れて(?)なった私ですが… 第一号患者ということは、病院側にデータがないということ。 担当医師も理学療法士も手探り状態で私のリハビリメニューを組むということです。 今にして思えば、ずいぶん大きな賭けにでたものです。 そういうリスクはなるべく避けた方がいいので、同じ手術の実施数は年間何件なのか、執刀医にはどれぐらいの経験があるのかを、事前に確認した方がよいでしょう。外来担当と執刀医が異なる場合もあります。この確認は外来診察時に「先生が手術をしてくださるんですか?」の一言で済みます。
3)手術後のリハビリ問題
骨や関節の手術は、高度に消毒・滅菌された設備が必要なので、それなりに大きな規模の病院で受けることになります。そういう病院は、急性期の患者をみることに特化しているのが普通です。手術後のリハビリを長期にわたって面倒をみてくれない病院も多いのが実情です。
病院のシステムがどういうことになっているのかは判りませんが、阪大病院は通いでのリハビリは基本的には認めていません。そこを特別に1ヶ月間だけ通いで面倒をみていただきました(が、電車で通えない体での退院だったので「どうやって通うんだよ!車の運転も大変だよ!無茶言うなよ!」と内心思ってました) 。
退院後のリハビリを受け入れてくれる、ご自分の生活圏内にある整形外科と連携しているかどうかも、病院の地域連携課または医師に相談してみるのが最善だと思います。手術を受ける前に、普段のかかりつけの整形外科に相談してみる等、受け皿を確保しておくと、気持ちの負担が大幅に軽減されます。
4)医師や理学療法士との意思疎通
患者にとっての現実問題は「手術後にどこまで回復できるか」です。
この「どこまで回復できるか」がクセモノで、医療従事者に「治りますよ」「治せますよ」と言われると、患者は「故障前の体に戻れる」と勘違いしがちです。
医療従事者の言う「治る」は、けっして「故障前の体に戻れる」の意味ではありません。「だましだまし使えばもう少しはもつ」「少なくとも傷は縫える」「今ほどひどい痛みはなくなる確率が高くなる」程度と考えておいた方がいい、というのが私の実感です。
最近は、インフォームドコンセントを積極的に推進する病院も増えましたが、それでも専門用語や、訴訟を避けるために巧みに書かれた文を一つ一つ読んで理解するのは、大きな負担です。しかも精神的にも時間的にも余裕のない状態で書類を渡されることが多い。フェアじゃないと感じます。入院後、明日手術という時点でこの書類を渡された日には「えええええ!?」となりました。
あらかじめ渡してもらえる病院でも、外来でひょいと渡されると、つい、今ここでサインをしなくてはならないと思い込みがちです。ここでひとこと「持ち帰ってよく読んでからサインをします」と言ってみてください。提出時には「コピーをください」と言うのもお忘れなく!
整形の手術でいうインフォームドコンセントとは「手術で得られる効果」と「改善がみこめないことやリスク」の両方について患者が知り・了解するということ になるのかと私は思います。 「日常動作はどれぐらいまでできるようになるか」「手術を受けた後、杖を外せるようになるには何ヶ月かかるか」「生活はどのように変わるか」と、具体的に質問をして、医師や理学療法士の見解をきいてみるのをオススメします。
手術を受けた後の自分の体・制限・生活を具体的に想像してみてください。ほんとうにそれが望んでいる体・生活なのか。他に選択肢はないのか。自分の望むレベルでの回復を実現している人はいるのか。納得行くまで調べたり、話し合ったりしてみてください。セカンドオピニオン、サードオピニオンも視野に入れて、自主的に考える患者になりましょう。
いかがでしたか? 「そんなこと考えてもなかった…」というものはありましたか? 手術する・しないは症状の重さや、その時の学会の主流によって変わります。手術をしたら、その組織はメスを入れる前の状態には戻れません。ほんとうに必要な手術なのかどうかを熟考し、できる限り大きな納得とともに決断なさることを祈っています。
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