日々のこと

東京アルプスプロジェクト・屋上撮影会に参加してみた

大学院時代の後輩、ナカノくんに誘われて
東京アルプスプロジェクトの
屋上撮影会に行ってきた。

元・ラガーマンのプロカメラマン(芸人歴あり)に
新宿の某ビルの屋上で撮影してもらうというイベントだ。

「おやきとほうじ茶がついてきます。」

ナカノくんから送られてきたリンクには
そう付け加えられていた。

食べ物で釣ろうとしているのがバレバレである。

 

ナカノくんは大学院時代、よく
わたしにチョコレートをくれた。

通常、ゼミが違えば院生同士の交流は
淡くなるものだが、
当時わたしが籍を置いていた大学院では
気の合うもの同士がゆるく繋がっていた。

雌伏すること数年を経て、ゼミで
“女帝”を引き継いだわたしは
他ゼミの後輩:ナカノくんからの
献上品を享受し、院生室ではおおむね甘やかされていた。

わたしにチョコをくれる人だったナカノくんも
今では立派な社会人として
国際交流を高校生に伝えたりしている。

変わらないのはわたしの食い気だけといったところか。

 

おやきはともかくとして、
知人が主催するこういうイベントには
積極的に参加したい気持ちがわたしにもあるので、
すぐに参加を決めた。

 

イベント当日、新宿御苑のそばの
高度成長期に建てられたであろう
レトロな雑居ビルにて受付を済ませ、
隣のビルの屋上で撮影会に参加。
7階までの階段を上り下りするという
股関節の手術後、初のチャレンジもついてきた。

 

天気も良く、場の雰囲気もとてもよく、
なによりその場をしきってくれている
カメラマンと、プロジェクトメンバーが
非常に気持ちのいい人たちだったので
お酒も入っていないのにとにかく楽しい。

 

屋上には人のテンションを上げるなにかがある。

視点が高くなるだけで気持ちが高揚する。

そして視界が開けていることで
やたら気が大きく、開放的になる。

 

隣接する近代的な高層ビルの窓から
制服にマスク姿の女性会社員たちに
怪訝そうな表情で冷ややかに
ジロジロ見下ろされても

「ハッハー!いやぁ、
 いいお天気で気持ちいいですなぁ!
 あなたたちは今日も窓も開かない
 高気密高人口密度のオフィスで
 お仕事ですか!お疲れ様です!」

と、爽やか失礼な態度で受け流せてしまう。

 

「口の格好がいいですね〜」
「目の格好もいいですね〜」と
なぜかパーツばかりを賞賛されながら
上機嫌で撮影してもらって
屋上の、視覚としては開放的だけど
足場としては非常に限定された空間を満喫。

自分の視野が空間によって
いつもかなり狭められていることを実感した。
PCのディスプレイやスマホの画面ばかり
覗き込んでいる生活だからなぁ〜…

周辺視野が思い切り狭まっていたなぁ。

そんな感覚を語りながらの撮影会。
「刺激を感じながら・体を動かしながら・
 初対面の人と話しながら思考する」という
わたしにしては滅多にない経験ができた。

 

 

高揚した気分で受付場所の
おやき専門店:おやきカンパニーに戻り、
鹿肉ポテサラおやきと、有機野菜のサラダ、
温かいほうじ茶をいただく。

おやき。

言わずと知れた信州の郷土料理である。

わたしも野沢菜や高菜を入れた
おやきをフライパンで作ったこともあるし
原材料や作り方を知っているので
目新しさという面では格別な期待はなかったが
(失礼すぎる…)

素材と具材と調理法にこだわり、
炭火でじっくりと目の前で
焼いて切ってサーブされるおやきは、
この世にこんなに美味しいものが
まだあったのか・・・!と
感動を覚えるほどにしみじみ美味しくて、
満足した挙句に非常に無欲になった。

天気が良くて、風が心地よくて、
気持ちのいい人たちとおしゃべりして、
おいしいものを食べて
あたたかいお茶を飲んで。
これ以上のことは望めないね!
も、なーんもしなくていいよ。
今日は仕事しなくってもいいよ。
うん。帰ってのーんびりしよう。

そう話したら、

「アーユルヴェーダの偉い先生の
 ことばに通じるものがありますね」と
ナカノくんは言った。

 

曰く、

「人は満足すると悪いことなど思いつかない」。

 

なるほど。
真実だな。

 

自分を満足させることに罪悪感を持つのは
ほんとうは不幸なことなのだ。
ストイックさや謙虚さといったものは
度を過ぎればただの毒。

 

自分なんてまだまだだ。
これが足りない。あれがない。
それもできていない。不十分。

そんな目で自分を批判していても
誰も幸せにならない。

全力で自分を満足させよう。

おやきはともかくとして。

 

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