股関節形成不全

人工関節にしたのに綺麗に歩けない そんな悲劇を防ぐには

認定ロルファー™️の利香です。

人工関節置換手術を受けるタイミングに悩む患者さんは多いですよね。環境的な都合(家族や仕事との兼ね合い)、人工物をインプラントすることへの拒否感、再置換のリスクマネジメント。考え始めると悩ましくて、先延ばしにしてしまう。
やっと置換手術を受けたのに、綺麗に歩けなくて転倒してしまわれる方もいらっしゃいます。なんでそんなことが起こるのでしょう。

これまでにも何度かこちらのブログでも取り上げていますが、今日は人工関節置換手術を受けた後になってがっかりしないために、考えて欲しいことを書きます。

再置換という不確定要素をどう捉えるか

置換手術は早ければ早いほうがいいと医師が言わないのは色々なリスクがあるからですが、最も大きい理由は現在の人工関節の寿命は約20年とされているからです。

単純計算で55歳で手術を受けたら75歳で再置換となります。それを医師から教えられてわたしたちが考えるのは、75歳での手術のリスクですよね。75歳ともなれば多少の持病はあるだろうし、大きな病気を患っているかもしれない。傷の回復力、骨の修復力、抵抗力も衰えているはず。正直、不安要素が多い。それゆえ、最初の手術をできるかぎり遅らせて、再置換手術をしないまま寿命をまっとうしたいと考える患者さんもいます。

しかし、関節の痛みや変形を抱えたまま十数年暮らすことで、身体はじわじわとダメージをこうむってしまいます。その結果、人工関節置換手術後に綺麗に歩けないままになってしまう可能性があるのです。

痛みをかばう歩きかたを続けるデメリット

股関節が痛いと歩きかたがおかしくなります(跛行など)。癖がひどくついてしまうと、置換手術後、綺麗に歩けるようには「自然に」はなりません。私のクライアントさんに今年1月に右股関節の置換手術を受けられた方がいらっしゃいますが、10月になってやっと歩きかたが普通になってきました。(痛みに耐えた期間は「なんとなく痛い」からカウントして10年ほど。激痛になってからは2年弱で手術を受けられました)

人工関節にしたのだから関節の中の痛みはありません。しかし関節周辺の筋肉などに拘縮があって痛みを生じたり、「こうするのが痛くなくて安全な歩きかただ」と身体に刷り込まれていたりすると、無意識に・自動的におかしな歩きかたになってしまいます。

この癖を取り除くのは容易ではなく、わたし自身の体験から言っても、3年間のロルファーとしての経験からいっても、リハビリ的アプローチでは解消は難しいです。

どちらのリスクをとる?

人工関節置換手術を検討する時にわたしたちがとるべきは、【高齢での再置換のリスク】か、【置換後にまともに歩けないことによる転倒・受傷のリスク】か。つまり、どのみちリスクはあります。わたしは後者のリスクはバカにならないと思っています。なぜなら転倒して重傷を負ってしまったら体はどんどん弱るからです。

置換手術を受けたらきれいに歩けるようになるには、身体の状態、特に、体幹部分の筋肉量と骨盤帯の動作が鍵となります。このふたつのクオリティが低いと、手術で全ての問題が解消!とはゆかないのです。

痛みがあれば運動量は減る。運動量が減ると筋肉量も減る。
これに加えて身体の使い方にかばい癖がつくと正しい筋肉の使い方ができなくなり、身体の左右、上下(上半身と下半身)、浅層とコアのバランスがどんどん崩れてきます。運動不足から体重も増加。関節への負担はさらに増します。

この負のスパイラルに陥る前に、言い換えると、筋肉量も動作もマイナス点が少ないうちに、人工関節置換手術を受けるのが絶対にいいです。
そしてどのタイミングで手術を受けるにしても、手術前後で身体の構造バランスを整えるボディワークで対応しておくメリットは計り知れません。ロルフィングもその有力な選択肢に入っています。身体の軸を正しい位置に持てるようになると、痛みのある関節への負担を減らせますから。

 

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